2015-08-31

8/19和訳:ヤニの木製サーフボードづくり -アロハの気持ちとアレイア―


Yani's first ride on his Alaia board with dawn glow.

ヤニとパチャは、現在、私が30年以上前に通っていたのと同じ、地元の公立学校に通っています。それらは良い学校で、一般的な考えの枠内で学ぶ機会を与えてくれます。ヤニの学年(6年生)がはるか遠い我が国の首都・キャンベラに遠足に行く際、私たちは行かずにとどまることに決めました(いずれにせよ私たちは、兄を訪ねに定期的にキャンベラには行きますし、その遠足は若干高価だったので)。

 その代わり、ヤニは、彼の12歳の誕生日のちょうど一週間後、2時間ほど離れたエヴァンズヘッドの友人のところに泊まりに行きました。そこでは、自由にサーフィンやスケート、音楽(彼はディジュリドゥを独学で習っています)を楽しむことができ、彼の精神は赴くままに夢を見て、成長することができたのです。彼は、人生で最も素晴らしい週の一つだったと言いました。
 彼が家に帰ってきたときは、自分自身に対してより自信を深めており、また自らが幸せな人生を送れるライフスタイルについての理解をより深めていました。また、地元の方がサメに襲われた時、まさにその(エヴァンズヘッドの)海岸にちょうどサーフィンに行こうとしていたことなど、「初めての経験」もたくさんして帰ってきました。この経験によって、彼は生きていることのありがたみをより深く感じ取り、水の中に行くか否かという選択についての自身の直感に対する意識を高めることになりました。
 彼はまた、自分が作った、フィンのない、「アレイア」という木製のサーフボード-初めてサーフィンをした人として知られるハワイの土着の人々から着想を得ています-も持って帰ってきました。それは、彼のホームステイの受け入れ先は、地元バイロンベイでWooden Anchor(木製の錨)木工所を営む友人と協力し、持続可能な育ち方をした桐の木を伐り出し、ヤニが作業できる余材を作ってくれました。ヤニはデザインについて深く考え、かなり独創的で芸術的なデザインを思いつきました。それは、下部が凹型をした非対称的なデザインで、私たちがゴールドコーストの波が方向を変えるポイントで乗るような波を捕まえるのに有利なように特別に作られているのです。ヤニは、このサーフボードづくりの経験をちょっとした動画にまとめました。それはこちらでご覧になれます。Yani's Alaia project(ヤニのアレイア計画)

パチャも私も、ヤニ自身の手でモノを作るという初めての挑戦を成し遂げた彼の幸福感からくる気持ちの高ぶりを感じていました-自らの手で何かを創り上げ、それによって自分自身(と他の多くの人々)に大変な喜びをもたらすことができるということに気付いた時の深い満足感は、何事にも比べられないほどのものです。彼によれば、そのサーフボード(「グライド」という名前を付けました)を海に初めて入れるとき、ささやかな彼なりの儀式を行ったそうです-その儀式は、大地と水の精霊を呼び起こし、彼の拳を通してディジュリドゥの音-深い魂のつながりを-ならすというものでした。今や、ヤニ、もしくはパチャがそれを使う時はいつも、呼び止めてそのサーフボードを見て、それについて尋ねる人がいます-前向きなメッセージを広く発信するためにはとても有効ですね。

 ここゴールドコーストでは、人為的に創られた幸福がたいへん目立ちます-すなわち、パッケージ化され、日用品のようにされ、売買されようと仕組まれています。これは、競争をあおり、人をいじめる心理とも密接に関係していて、時にはサーフィンの分野にもしみ込んできます。特に、自分自身を追い込んでしまったり、両親や金銭的な支援者に何があろうと「勝者」になることを求められたりする若いサーファーについては。このことは、ハワイ土着の言葉である「アロハ」が意味する、「今そこにある生命の力を楽しく共有しよう」という精神とは対極のもののように感じられます。


 親切で寛容な友人のおかげで、「アレイア」サーフボードの経験を共有することにより、ヤニは、私たちに、「アロハ」の意味と、海や自然そのものの持つ限りない力を与えてくれ、共有させてくれるというサーフィンのまさに極意を思い起こさせてくれたのです。
【翻訳:平戸実生】

When not in the water, 'Glide' becomes a work of art in our home!

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