写真:ある春のまぶしい朝、ヤニともう一人の男性がサーフィンの一番乗りでした。ところが、この写真を撮ってから30分もしないうちに、そこらじゅうに20人くらいの子どもが・・!列になった波乗りたちを見物しながら、自然とつながることを誰もが求めているのだと自信を持ちました。
最近あるメディアでこのような発言を読みました。
「自分の地位や知識に自信があって、精神的、経済的、社会的に安定している人間のほとんどは、いじめに加担しない。」
これは私に多くを物語るものです…
パチャとヤニが本能的に、かつ思いやりを持っていじめに対抗している姿をずっと見てきて、私は励まされています。それは時々本末転倒な状態になって、普通なら不適切と思われるかもしれないことにもなります。
ヤニ(とパチャ)は学校に通っている多くの先住民族の生徒たちよりも「先住民」ぽく見られます。これは彼らのルーツがどこにあるということに関係なく、この土地の先住民に寄り添う、まさに、私にとって誇らしい勲章です。地球との関係性を育んでいくという私たちのディープ・エコロジー的な世界観が、私たちの日々の暮らし方に反映されているからでしょう。
しかしながら、この国では、いまだに先住民であるということは、ある種のハンディキャップ、特に経済的、社会的“成功”に対するハンディキャップだと見なされます。政府は特別プログラムや助成金システムなどで先住民族の子どもたちをサポートしようという政策を打ち出していますが、現代社会が子どもたちに教える価値観は、根本的に先住民的な世界観とは真逆なものなのです!
なので、ヤニとパチャは「先住民」とよく間違えられることも気にせず、自分たちが誇りに思う個性的な感覚を発展させています。今のところ、自分たちのやり方に対して主流社会から制約を受けたりはしていないようです。
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最近のことですが、ヤニは先生(地元ブンジャラン・アボリジニ族の男性)から、気楽な感じでではありますが「君はまるでブラックだね」と言われたと話してくれました。それに対して、ヤニは「いいえ、ぼくはゴールデンです」と答えたというのです!
ヤニは、昨日学校で起こったもうひとつの素敵な話も教えてくれました。どうやら授業で海亀のことを勉強していたところ、彼らにとって最も脅威なものは何かと先生が生徒に尋ねたらしいのです。他の生徒たちはサメ、カモメ(雛を食べるから)、ボートなどと答えてましたが、ヤニの答えは「人間」。
先生は「違うよ。正解はビニール袋だ」と言いました。授業の後、先生はヤニの元にやってきてこう言ったそうです。「本当はヤニの答えは正解だよ。海亀にとっていちばん危険なのは人間なんだ。でも、もし先生がそう言ったら、そのことを理解できなかったり、ショックを受ける子が出てくるかもしれないだろ?」と。
主流社会での教育カリキュラムと現実世界の間に横たわるギャップに日々奮闘しなければならない先生から、ヤニの洞察力が認められたこと、少なくとも完全に否定されなかったことに、私はとても満ち足りた気分になりました。
【翻訳:西嶋明子】
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