2015-12-14

11/16和訳:希望をよみがえらせる12日間


Be the ChangeCDは、パチャとヤニと一緒に、そして松谷冬太さんたちナマケモノ倶楽部の仲間に助けてもらいながら、横浜にある素敵なストローベイルのカフェ・デラ・テラ(戸塚、善了寺)で太陽光発電を使って収録しされました。それから2年以上になります。その間に世界は悪い方に変わってきたように思います。その世界に向けて、このCDを発信する時が、いよいよやって来ました。
この2年間は、あたかもホラー映画をみているようでした。政治家たちが学ばず、変わらない中、日本は恐ろしく、バラバラな国へと地滑りしていくようです。戦争という苦い経験があるにも関わらず、平和憲法は壊されました。フクシマの悪夢は未だ続いているというのに、原発の再稼働が進められています。さらに、TPP、遺伝子組み換え、気候変動、ミツバチの減少、自殺する若者たち等々、問題は山積みです。そんな中、日本の人たちを元気づけるために何を言い、何をすればよいのでしょう?

それが私の正直な思いでしたから、ツアー初日のイベントでは、街も部屋も最初は憂鬱で無表情な灰色の場所に見えましたが、いざ始まってみると、自分の顔に笑顔が広がり、ハートが愛で満たされるのを感じました。そこには希望があったのです!決して諦めず、圧倒的逆境にあってなお出来ることを続け、歌にのせ声をあげ、いのちへの愛に涙することを恐れない全ての人々の心に、希望が宿っていると感じたのです。パルシステム主催のそのイベントの最中、この旅が再充填と再確認のためのものだと理解しました。私たちがここにいる理由、ここですべきこと。私たちはそれを知っているはずです。私たちは同じビジョンをもって未来を思い描いているのですから!

こうして始まったツアーは、少しばかりめまぐるしいものになりました。日本各地を移動しながら、毎日2、3カ所でイベントがありましたから。多種多様な人たちがイベントを企画してくれました。皆、それぞれに多彩な方法で地球を癒そうとしている人たちでした。彼らの力を借りて、お寺、カフェ、パン屋さん、教室、収穫祭、古民家でライブをし、大都市から静かな山間にいたるまで旅しました。

そして、そこで歌った歌こそが、全てのイベントに共通する躍動感の源となりました。誰もが参加しひとつになれるコーラスライン。「Be the Change」、「We still have Hope」、「Thinking like a Mountain」、「飛べクリキンディ」、皆さんと歌っていると、今までの2年間が2週間だったような気がしました!想いを同じくする人たちの「善意」が集まってくるのだと疑いなく信じられることの喜びが、ひとつひとつのイベントを特別なものにしてくれました。
そして、古い友人、新しい友人、若者から年配の方まで、本当にたくさんの人たちと出会いました。



ナマケモノ倶楽部の創設者である辻信一さんや中村隆市さんを含め、「ナマケモノ家族」との再会できただけでなく、アイリーン・M・スミスさんを含め、20年以上会っていなかった多くの友人や活動家たちにも会えました。彼らとの再会は、地球上のいのちを守るには、世界全体におよぶ抜本的な変化が必要だという共通見解を確認する機会にもなりました。

それから、地方政府で活躍している二人の親しい友人に再会できたことも、今回の旅でワクワクしたことでした。増田かおるさんは、今は松戸市議会議員ですが、この前会った時には、福島の原発事故による千葉エリアの放射能汚染から子供たちを守るため、地域活動に取り組む慎ましい一人の母親でした。「ふじいもん」こと藤井芳広さんは、今は糸島市議会議員ですが、彼もこの前会った時には、シンプルでオーガニックな暮らしを求めてパートナーと共に移住したやさしく、シャイなヒッピー系の若者でした。彼が、自分の暮らす地域のお社に案内してくれた時、有機栽培に切り替えてから日の浅い彼らの畑が害虫被害に苛まれていたときのことを話してくれました。彼らは害虫たちに歌を歌い、作物を分かち合おうと優しく呼びかけたというのです。このエピソードが選挙活動でも活かされたということですから、優しく真摯な人に惹かれ支持する人たちがいるのです。そうです、いよいよ「弱き者」、慎ましい者が先導する時が来たようです!

某首相が軍国主義的暴力を煽っている一方で、パレードやデモの時だけでなく意見を交わし団結する手段として人々は非暴力を選んでいるようです。非暴力コミュニケーション(NVC)は、ディープエコロジーと共に、新たに勢いづいてきた多様かつクリエイティブで愛情ある運動のキャチフレーズになりつつあります。これは、(ベストセラー作家の)辻信一さんが企画したイベントのテーマでもありました。彼が校長を務める「ゆっくり小学校」では、「最も優しく平和的な人類」の例としてペナン族のことをとりあげました。それは、「人間」らしくあることの例であり、それについての問いかけでした。

このことは、日本の分水嶺である長野の山の中でも話題になりました。この地域の人々は東京大阪間をさらに速く行き来しようというリニア新幹線の問題に直面しています。日本の真ん中をぶち抜くトンネルをつくってまでそうしようというわけですが、その「速さ」はなんのためのものなのでしょう?



娘のパチャは、自信と実力をつけ順調に女性へと成長しています。そんな彼女の存在も旅の楽しみのひとつでした。一緒にステージに立つと、鮮明で強い彼女の声と存在はあまりに自然で、私たち親子が個人であると同時に一体であると感じるのです!パチャは、今回サーフボードを持って来れたこと、日本のサーフィング界で新しい友達ができたことをとても喜んでいます。そして、次回は、彼女の大事な弟、日本が大好きなヤニも一緒に来ます!

たくさんの子供たちの姿があったこともこのツアーならではだったと思います。子供たちは、私たちのしていること、その理由や方法を教え、私たちを導いてくれているようでした!ほとんどのイベント主催者から子供を紹介されましたし、どこでも膝に抱かれた赤ん坊や会場の一角で遊ぶ子供の姿があり、ステージに参加してくれた子たちもいました。「子供」(そして子育て!)が一番の話題だったと思います。


こうして、今回のツアーを通して元気をもらいすっきりした気持ちになれたのもナマケモノ倶楽部(ナマケモノの皆さん)のお陰です。私たちは皆、17年間にわたって日本の運動に希望、創造力やひらめきを与え続けてきたナマケモノ倶楽部の重要性を、Be the Changeツアーを通して再認識したのではないでしょうか。今回の気づきや学びを、もう少しゆっくり深めることができるよう、次回の来日(20166月・7月)を楽しみにしています!


【翻訳:宇野真介】