2012-11-05

11/2和訳:母なる地球を辿る旅

(ヤニのスケボー姿。パチャによる撮影)

今日、昔からの友人に会って近況を聞かれた私は、パチャとヤニと私がこれから始める世界を巡るスローな旅の話をしました。すると彼はこう言いました。「あぁ、君たちはウォークアバウト(walk about)を始めるんだね?」

ウォークアバウトを知らない人もいるでしょう? 次のような定義があります。
「ウォークアバウトとは、アボリジニに伝わる文化のひとつ。精霊たちの辿った道をすすみ、自分の一族にあてがわれた夢見を得る旅。途中、先祖代々の神聖な場所に立ち寄り、伝統的な儀式やカラバリを執り行う」

そう、それこそが私たちが今していることなのです。
私たちは、今の私たちへと連なる人々や場所、母なる地球と呼ばれる祖国を訪れるつもりです。昔行った場所を再び訪れ、そこでの経験を子どもたちと分かち合います。

私の生き方や運命は、その経験に大きく影響されてきました。かわいい子どもたちを産んだのも、そこでの経験があったからこそ。もっとも、子どもたちもまた、数年後には私の元を離れ、自分の人生を歩んでいくことになるでしょう。

私たちは、旅の中で、私たち独自の儀式をしたいと考えています。祈りを捧げたり、歌ったり、踊ったり、人と交流したりすることを通して、世界の変化を見届け、将来のあり方をじっくり考えるのです。

どこへ行っても、私たちは出会う人々の役に立ち、物事や人々との出会いに喜びや好奇心を抱き、多くを学び、人々と分かち合っていきたいと思います。

(家にやってきた訪問者!=へび)



最初の目的地は、マレーシアのペナンです。1986年、そこで開催されたFoE国際会議で、私は初めて地球全体に広がる環境破壊や森林伐採、先住民の絶滅の危機について知りました。

私が初めてジョン・シードに会い、ディープ・エコロジーの思想に共鳴したのもペナンでした。ペナンを出発して、私たちはタマン・ネガラ国立公園の熱帯雨林を訪れ、テナガザルと戯れる予定です。

次の目的地はボルネオ島とバリ島。そこで友人と20年ぶりの再会を果たします。友人との再会に泣き笑い、ここまで来てしまったんだなぁと我ながら驚くことでしょう。

子どもたちは、これまで私が話してきた物語ーかつて私が全身全霊をかけて取り組んだ一連の真実について、肌身を通して体験することになるでしょう。ほとんど失われてしまった美しい熱帯雨林、資源の搾取という厳しい現実に苦しむ人々、グローバル化し、歪みの生じた文化。そこで見聞した問題意識が、子どもたちの中に生き続けることを祈ります。

それから、私たちはナマケモノ倶楽部のもう1つの拠点、エクアドルを訪れます。パチャやヤニの父や親戚たちに会い、雲霧林の中にあるエルミラグロで過ごします。

もちろん、日本にも帰ってきます!3・11で亡くなった人々に哀悼の意を捧げ、昔からの友人や新しく出会う人たちと思いをひとつにします。ヨーロッパにも行くかもしれません。まだ見知らぬ親戚との再会は、母方である私のルーツをたどることは、共通点や相違点への驚きをもたらすかもしれません。

さらに、私たちは新しい物語も紡ぎはじめます。主人公はパチャとヤニ。彼らの愛する海での時間、波さえあればどこでもサーフィンできる喜びに、私もついていくつもりです。パチャはサーフィンでつづる冒険のブログも立ち上げました!(http://pachalina.wordpress.com/)

(小学校の学期末の学芸会で歌うパチャ)




出発まであと数日となった今、私たちは身の回りの準備を整え、これまで生きてきたすばらしい日々に感謝しています。時間ができると馬のオリーと遊んだり、私たちが植えた果樹の葉をそっと触ったり、近所の人たちや友人にお礼のあいさつに行ったりしました。旅をしている間、ここでの生活を思い出すことができるように、ここの森や海のイメージを心に刻みつけています。

このように書くと、私たちがここを去って二度と戻らないように聞こえるかもしれませんね。でも、あらゆることが起こり、変化しうる。それこそが、旅の本当の意味なのではないでしょうか? もし、私たちが戻ってきたとき、ここに何の変化がなくとも、私たちは変化してゆくのです。

だからこそ、たくさんの感動や驚き、悲しみがあるのです。もう一度、よく生きる方法とは何かを思い出すために、私たちはここでの不足ない生活を捨てて旅に出るのです。

【翻訳:原田真里】

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